2023年8月20日日曜日

夢の序章のマッターホルン2023 vol.4

 8/10。今晩から、山へ入ると決めた。天気予報も午後から山頂も晴れる、とのこと。しかし、雲は晴れる気配がない。

最終16時ののゴンドラに乗る予定なので、モゾモゾダラダラ準備するも、何か身が入らない。しかし午後になり、この日トライした松本家族の留守を任されている奥さんに、なおや君登頂成功の報が入る。

そして、こちらが出発する頃、テントサイト仲間の、なおや君が下山してきた。早口で効くところによると「頂上まで行け、雲や風はスゴかったけどなんとか行けました😃」とのこと。疲れ切ってはいるものの、満足げな顔に「あのくらいの雲なら行けるんや」とテンションあげつつ別れを告げて出発。

 しかし近づいていっても雲は張りついたまんま。不安は消えない。けれど夜、寝に入ろうとしてふと見ると見事に雲は消え去り


星空の中に山が浮かんでいる。いける❗とテンションあがる。

 8/10 トライ当日。1:30起床。ヘルンリ小屋はイッパイだったため、高度差約700m、歩き1時間30分のハンデ地点から出発する。

 山に入り、最初のフィックスロープを越え、我々が「赤岩」と呼んだところを過ぎて間もなく、下からヘッドライトが1列に上がってくる。

抜かれた❗ 噂に聞くながらもガンガン飛ばすガイド組。抜かれつつもついていく。ソルベイ避難小屋で夜明け



ツェルマットから見てたモルゲンロートの中にいるんやな、と感動する間は無く先に進む。

フィックスロープが続くところ、早くも下山してくる組とガチ合い、更にスピード落ちるものの待ってばかりでは進めない、




噂の鉄杭に3パーティ程が同時にロープかけたりしながら登り、下り。

高度を上げて、クランポンを着け、肩に出て、、、そして



着いた。。。今までで一番登りたい夢の場所に、ルートは違えど、立てた(スイス側の天辺何もなし)。

更にガイドでは中々連れてきてもらえない、というイタリア側の山頂、十字架のところへ

嬉しいね。

1ヶ月ほど前から毎日激変する天気予報を眺め、ツェルマット入りしてからもテントサイトから雲が晴れるように山を睨み付けていた。2週間以上待っている人、年越しで狙っている人、テントサイトでいろんな人から話を聞きながら今回ダメかなと思いつつ、願っていた。

 そして、、、晴天の中、天辺に来れた。

晴れ男って言っていいよな、俺。


写真を数枚撮ったあとはイソイソと下山開始、事前情報どおりの聖ベルナールの首に縄(ロープね)かけての懸垂下降から。

ガイド組はいなくなりガイド無し組が前後しつつ下降していく。


 ソロで降りてた人と、タイミングが同じため少しずつ話していると、段々と意気投合、懸垂下降タイミング同じなのにロープかけかえもったいないから一緒に降りません❓️ということで即席パーティ完成。

  しかしソルベイ直下降りて鉄杭セクションが終わる頃、



ルートロスト。ここでしょ?と下りた痕を見つけて懸垂した先には腐りまくったハーケンのみ、周りは畳半畳程の浮き石だらけ、なんてところから登り返したり。別パーテイの二人と計5人、ウロウロと探すうちに暗くなり行動が出来なくなる。


これ以上無理に動けば遭難は必定、やむなく緊急ビバーク。3人体を寄せ会う。エマージェンシーシートすら持たない軽装の為、着られる物はもちろん、ドライバッグを体に巻き付け、ロープを敷くなどして構えるものの、寒さは厳しく🥶ガチガチ震えながら長い夜を耐える。


・・・どのくらい経ったろう、急にガチャガチャとライトの群れが近くを通る❗️時計を見ると4時過ぎ、今朝のガイド登山組がドンドン通ってくる❗️

ロストしたと思ってけど、ほぼルート上やったんやん‼️なるほど暗闇で見るとほぼ崖にしか見えないところも、確かにココ登ったな、ってところだ。

なんとか、やりきった感で下山。

疲れた・・・


ヘルンリ小屋で2度目の朝日を眺める。



しし、ガイド登山だったらこの充実は無いよな、負け惜しみだが。

とても良い経験も得たよ。想定外の対応もありながら、新しい友達Ziadも出来たし。あの寒い思いも後になれば最高の思い出だ。

もちろん、喜んで今山行の誘いに乗ってくれたミッツー、多謝🙏



8/10の1:30起床行動開始から、8/11の6:30下山終了の約29時間で、チョコバー2本とドライフルーツ数個、水も1リッターしか摂っておらず腹ペコなので、ツェルマットに帰ってZiadと共に3人で祝いの朝食。Ziadがオゴッてくれたよ😆



  コーヒー好きだけど、こっち来てまだ飲んでないって言ったら、Ziadが選んでくれたアイリッシュコーヒー。気づかずに飲んだらガッツリウイスキー入りやん❗



「昨日ビバークで寝てないから、それ飲んでグッスリだな😁」やられた、良いヤツ❗️

食べ終えて、少しの寂しさと共に駅前でガッチリ握手を交わして別れる。


 テントサイトに戻ってからは、長期滞在してるイギリスの画家マシューに報告。

 登れたら買うよ、と約束してたマッターホルンの絵に、登ったことのサインをして、貰う。これはかなり良い自分土産。これだけで満足。



奇しくも山の日に無事下山の夏山行、終わったね。

本当に充実した、最高の思い出。お疲れ⛰️。

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